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<EP/CMJ>バルジ大作戦を対戦('12-09-15) - ウン年越しの夢成就
 自分の中のほうぼうに言い訳を重ねながら、表題のゲームをこっそり遊んできました。
 以前のソロプレイ記事にも述べたように、初めて手に入れた思い入れあるウォーゲームでありながら、「他にもっとやりたいゲームが…」と、念願の対戦環境に足を踏み入れてなお、後回しし続けたタイトルです。
 今回スポットライトが当たった理由は、一度遊んでおきたかったことと、当日までにあまり準備の時間を取れなさげだったため、あまりルールに悩まされることのないようにしたかったことの2つでした。特に後者に関して、このゲームは、一部記述の甘さから明確化の必要な点があるものの、実際のプレイの大部分に関わるルールが極めてオーソドックスで細則も少なく、「さっと、でもそこそこがっつり遊びたい」、そんなワガママなそこのウォーゲーマーのニーズに過不足なく応えてくれると思っています。褒めます。思い出補正で超褒めます。
 対戦に先立って、「ぼこぼこにされてきます><」と泣き言tweetをしたら、TL上のたくさんのウォーゲーマーさんが色々とお声を掛けて下さいました(そのときのまとめは、こちら)。皆さん、ありがとうございました!
 事前の擦り合わせで希望した独軍を受け持つことになった私は、yagiさんから教えて頂いた2つの戦略(鹿内ギャンビット、ピンゾロいっぱいだす)を胸に、猶予数分間の慣れない私鉄への乗り換えで息を切らしつつ、対戦の場へ赴きました。

■ セットアップ
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 セットアップは、上の写真の通りです。
 予定通り、第5装甲軍の戦車はすべて真ん中に集めて、まずサンヴィットを狙わせます。第6SS装甲軍もできるだけ中央を指向させたかったのですが、久方ぶりにマップを見てみると(ゲーム本体はいま手元になく、見返せませんでした)、思ったより道がない! そういえば、ソロプレイではよく戦車を詰まらせて遊ばせてしまうことが多かったような……いやな予感を覚えながら、2個師団をサンヴィット寄り、残りの2個師団を北の方へ置きました。
 なにぶん、両軍とも初プレイに近い(加えて独軍プレイヤーは未だニワカであります)ので、セットアップを含め、この記事を通して互いに穴っぽいところは多々あると思いますが、大目に見てやってくださるとうれしいです。

■ 序盤(1,2ターン)
 独軍は北方から中央にかけて、装甲ユニットを中心に各所で攻撃を仕掛けます。
 戦力の心もとない第7軍には増援がやってくるまで戦線の注視に全力を傾けさせましたが、後に「3:1立てばやるべき」との感想が。生来の日和見主義が遺憾なく発揮されております。

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 翻ってサンヴィット前面では、目の覚めるようなDRは振れないものの、損害吸収用の歩兵が付いた戦闘においてばかりうまくAopt(攻撃側指定の相互損害)を出し、退却を許さず連合軍ユニットを除去していきました。更に満を持して降下したハイテもちょうど東側にズレてとっても気持ちのよい包囲を形成。第2ターン独軍終了時には、上の写真のような状況に。
 中央の見晴らしがすっかりよくなり、サンヴィットも包囲、これはやれるんじゃないかと心拍数をむやみに高めるのでした。
 ちなみに、独軍の敵地における戦略移動の要となるコマンド部隊は、今回は戦闘ユニットととして登場させました。伝授された作戦では、バストーニュへの移動など重要な役割があり、迷ったのですが、当日夜に急な予定が入りあまり遅くまで遊べなかったことと、自分がまだまだ長考気味で、コマンド部隊が入ると更に考え込み始めてしまう気がして、諦めました。無念。

■ 中盤(3〜5ターン)
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 2ターン終了時のぼんやりとした方針では、サンヴィットの包囲を歩兵に任せて、第6SSの戦車はちゃっちゃとスパ方面へ走らせるつもりでいたのですが、連合軍の巧みなユニット配置にしっぽり絡めとられて思うように前へ進めません。余裕のあるうちに、2個軍で一度くらい叩いておくべきでしたでしょうか。

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 一方、第5の戦車は一路バストーニュへ。しかしもうひとつ果断さが足りず、都市へ攻撃を掛けるでもなく周囲の歩兵を相手にするばかり。仕方ないのでLehrを北方へ送り返したりする変調っぷり。ここ数ターンにおいて、装甲が攻撃に参加しないタイミングが多々ありましたが、これがとっても良くなかったと思います。

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 そうこうしている間に、あんなに少なく見えた連合軍ユニットがぞくぞく増強され、あんなに薄く見えた連合軍の戦線がぐんぐん分厚く、反撃の準備が着々と整っていきました。

■ 終盤(6〜7ターン)
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 独軍の勢いは既に、全く失われていました。
 行動制限の解けた英軍を前線に投入し、連合軍は北から南まで、Aoptで損害を吐き出していた歩兵を筆頭に弱い箇所や包囲環の要へ向かって反撃を始めました。ひとたまりもなく除去されるもの、Contや任意退却で耐えるものを尻目に、最も進出できているユニットはサドンデス敗北を避けんがためVP都市へ猪突猛進。

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 突破と除去、サンヴィットの得点で25VPあったので、あと1つでもVP都市を手に入れられればもう1ターン遊べる計算でしたが、どうにか可能性のあったバストーニュ、スパいずれもきっちりユニットを詰められた上、航空機を投入されては、お手上げです。
 7ターン終了時、25VPであったため、連合軍のサドンデス勝利となりました。

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■ おわりに
 アドバイスを下さった皆様には顔向けできない、割と惨敗気味の結末に終わったものの、大変楽しめました!
 あまりにも著名ゆえか、あれやこれやをイジられちゃうことの多い印象のある本作ですが、もちろんそれらの意見はすべて理解した上で、事前に根詰めてルールを読まなくても一日愉快にサイコロ振れて、しかも短過ぎず長過ぎず適度な時間で決着する、「良いゲームだ…」としみじみ思わずにいられません。とは言え、たくさんの笑顔と同時に哀しみも多く背負っているゲームであるのは間違いありませんから、本当に遊びたいお二人で、蜜月のひとときを味わって頂けたらイイなぁ、と思います。。。
 最後まで読んで下さったEPバルジ愛好家のあなた、こんなへぼでよければ、いつかこってんぱんにして下さいな。
# by taku9113 | 2012-09-24 23:50
ASLと日露大戦を対戦('11-08-17) - ぼくの(ASLと日露な)なつやすみ
 今後も継続的にゲームに親しんでいくにあたって、あるいはのっぴきならない影響を与えかねない諸事情により、いったんゲームをやめることにして大体半年が経ちましたが、しかしそろそろ禁断症状の出始めるころ。
 サイコロが振りたくってたまらなくなってきたところ、以前からお世話になっているゲーマーさんから「夏休みってことで、いかが?」と甘いお誘いをいただき、いまいち意思の薄弱な私は「いいですね」とつい乗ってしまいました。

 プレイしたゲームは、ASLと日露大戦。
 対戦相手の方はSKプレイヤーであり、かねてからスタンダードに挑戦したいと考えていたそうで、今回はその水先案内が本題でした。とはいえ私も約1年ぶりのASL、案内人が務まるかどうか不安でしたが、フルルールを改めて読んで当日を迎えました。

■ ASL

 選んだシナリオはお馴染み[T1]GAVIN TAKEです。
 がちがちのASLerにとっては手垢のつきまくったシナリオですが、スタンダードの初陣には悪くありません。SKにはなかった様々な概念−高度、石垣・生け垣、迂回、etc...−の息吹を比較的無理なく感じられます。加えて、これは個人的なジンクスですが、戦禍でヒーローが誕生するというスタンダードならではの体験ができることが多いです。

 私が防御側のドイツ軍を担当しました。

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 ↑ ドイツ軍初期配置。中央の建物にMMGを配しています。"?"マーカーの存在も、スタンダードならでは

 ドイツ軍から向かって左側のアメリカ軍は、最初の分隊が丘を登ったところを中央のMMGに撃ちすくめられたのを見て、以降のユニットはそのLOSを避けるように移動。高度の概念の導入によって、SK世界では考えられなかったLOSが通るようになります。
 右側のアメリカ軍は、おおよそ二手に分かれてマップ上を移動。盤上最優秀の10-3指揮官に率いられた火力スタックは、5FP+0の射撃をものともせずするすると丘の裏側に到達します。
 アメリカ軍の移動を見てドイツ軍、その後の前進を妨げられるような位置へユニットをせこせこと配置します。一部のユニットを突撃で2階に上げるのを忘れたり、LOSがばっちり通るような開豁地移動をやらかしたり、ブランクの影響が少なからず。。。

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 ↑ L2Dの超ニッチな商品、LOSチェッカーがチラ見え。キーホルダーにロゴをつけただけでは…と無粋な邪推

 全般的にドイツ軍の射撃DRが低め(ピンゾロが3、4回ほど…)に、アメリカ軍のMCDRが高めに振れていた感があり、なかなか前進が叶いません。丘の裏手に回った10-3率いる3個分隊がドイツ軍としては悩みの種でしたが、これもラッキーショットでスタックに対してKIAの結果を与え、無作為選択で指揮官の除去に成功します。
 アメリカ軍は苦境に立たされました。勝利条件は「少なくとも1個の指揮官と、1個分隊の突破」なので、指揮官の除去はこのシナリオでは普段より重い影響を与えます。残る2人の指揮官のうち、一方は戦線の後方で混乱中で、仮に自己回復に成功したとしても、突破ヘクスまで無傷で到達するのは難しい。もう一方の10-2指揮官は、1個分隊を連れて左側の丘を迂回中。このスタックの動向が勝敗を分けることになりました。

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 ↑ 実はカウンターを切り離しながらプレイしてました。カッティングマットがチラ見え

 しかしその10-2指揮官も射撃を受け、戦死! そのときのMCで分隊に戦禍が起こり、例によってヒーローが表れ、戦意高揚状態となりますが、これでは勝利条件が満たせません。残る望みは、分隊のCCや自己回復時のピンゾロで昇進が起きることですが、いずれも果たせず、ドイツ軍の勝利となりました。

■ 日露大戦

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 ↑ 対称的な能力値、スタック制限と戦力差CRTが実に心憎い

 次に、今ちまたでホットなこちらのゲーム。2度プレイし、私がいずれも日本軍を担当しました。
 1戦目は、第3ターンあたりで『浸透戦術(1ユニットのZOCを無視できるイベント)』とARによる実質前進、及び『敵中横断〜(次ターンのロシア軍の増援を出させないイベント)』のコンボが決まり、ロシア軍補給源に到達できることが確定。日本軍が勝ちました。
 2戦目は、1戦目のような電撃的勝利は得られず、ずるずるとフルターンを戦ってしまいました。こういう展開になると、往々にしてロシア軍が厚い戦線をこさえてしまいます。殴って戦線をヘコませては、次のターンにまた殴られ…と日本軍にとってツラい不毛な戦争に。前回の勝利をもたらしてくれた『浸透戦術』をじっと抱え込み、発動のタイミングを窺っていましたが、ついにその機会は訪れず、あと1つ士気を下げれば、というところでゲーム終了、ロシア軍の勝利となりました。
 「悔しいけど、面白い」と感じたゲームでした。悔しいのは、自分でもうまく説明できませんが、直前に遊んでいたASLや、その他2日かけても終わらないようなゲームを僕は楽しんでいるのに、これが楽しかったら「じゃあぜんぶこれでいいじゃん」となりそうで怖い、みたいな、でもそれとこれとは楽しいの種類が違うから、と即座に自分で反論するものの…という微妙なオトコ心です(まとまらない)。
# by taku9113 | 2011-08-19 21:41
<CMJ>コルスンの戦い対戦('11-3-26, 31) - 助かると思っても助かっていない
 3月の後半に、表題のゲームを2度プレイしました。
 3ヶ月以上前のことで記憶もかなりおぼろげですが、撮った写真やメモをもとに捻り出したゲームの展開や、感想などをば。

■ ゲームの簡単な紹介
 コルスンの戦いは、コマンドマガジン97号の付録になった作戦級ウォーゲームです。元はChris Harding Simulationsというところから発売されていたDTPゲームだそうです(BGGより)。
 第48装甲軍団でも採用された移動・戦闘フェイズの区切りがないシステムが特徴です。
 プレイヤーはスタックをひとつ選んで移動・戦闘を行います。その結果を見て、また別のスタックの行動を行えるので、むやみにターンを細分化しないでも、自然に攻撃→戦線に穴→突破→包囲の流れが表現できるところが美点でしょうか。攻撃目標を指定すれば、複数スタックによる攻撃も可能です。
 多くのユニットは3以上の複数ステップを持ち、戦闘は防御射撃→攻勢射撃の順に解決するファイアーパワー方式なので、少々煩雑な面もなきにしもあらずですが、その分毎回の戦闘に気合が入ります。
 より詳しい説明は他の方にお任せして、本題へ……。

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■ 1戦目 - 確実なオチが待ち受けている…
 その頃コマンド最新号の付録ゲームだったコルスンの戦い。
 「よっしゃ、やろうぜ」といつもゲームにお付き合い頂いている方に誘われ、比較的薄めのルールを読みつつ、粛々とセットアップを進めます。
 私は本誌を手にしておらず、相手プレイヤーもあまりルールを読み込んでいなかったので、当時既に『ルールは事前に読んでおり、当日対戦相手とお会いしたら、開口一番ルールの疑問点やツッコミ所について語らい合う』ことを理想として掲げていた私としては一抹の不安を拭い去れないでいましたが、まァ大丈夫かナ、と楽観論に身を委ねてゲーム開始。

 私はドイツ軍を担当しました。
 シチュエーション的には防御側とはいえ、『相手に与えた損失ステップ数の多い方が勝ち』という明快至極な勝利条件で争うゲームなので、積極的に反撃をかけ続ける必要があります。
 当初戦線は西部・東部の2つに分かれています。
 ソ連軍が両側からゴリゴリと押し込んで両戦線が中央で分断、マップの一部でポケットなんかがちょいと形成されると喜ばしいですが、なかなか大変です。

 基本的に退却型のCRTで、防御側は最大4ヘクスの後退を強いられる上、攻撃側は目標が後退したヘクス数だけ戦闘後前進を実行できるため、前述のスタック単位の移動・戦闘システムが噛み合うと、一線の防御は意外にあっさり破られます。
 その深刻さの認識が遅れたドイツ軍の戦線に各所で綻びが生じ、火消しに手一杯で反撃どころではなくなってしまいました。3分の1の確率でのみやってくる増援も受け取れて、けして不運に見舞われた訳ではなかったドイツ軍でしたが、主にプレイヤーの技量の貧弱さから、すっかり苦境に立たされてしまいました。

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 ちょっと巻き返しきれないVP差ができてしまった頃、その日は時間切れとなりました。ネットで散見されたAARだともっといい勝負になっていて、こりゃ何かおかしかろうとルールブックをじっくりあらためてみると、どうやらソ連軍のスタック制限を誤解、及びドイツ軍の射撃時+1シフトを失念して一日プレイしていたらしいという結論に至りました。
 抱えていた不安がばっちり現実のものとなって、思わず肩と首筋のなす角度がちょっぴり緩やかになりましたが、ルールまつがいはウォーゲームにゃ付き物だと気を取り直し、後日陣営そのままで再戦の運びと相成りました。

■ 2戦目 - 認めたくないものだな…
 では正しいルールでやってみよう、ということで後日迎えた2戦目。
 戦線後方に取り残されたユニットがしぶとく生き続けるのはいささか不可解という意見の一致より、補給ルール(選択)を導入しました。

 ドイツ軍の初期配置は基本的に一本調子で選択の余地は少なめですが、いくつかの強力な戦車ユニットを前線から一歩引いた位置に後置できます。いったん引き寄せて反転・逆撃をぶつけることに憧れて全ユニットを1ヘクスに集中配置。しかしこれが先日の戦訓を顧みられていない失策でありました。
 ソ連軍が突入してくるであろう地点の後方に2線目を引くのに使うべきではなかったか、と相手プレイヤーに指摘されました。

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 ソ連軍は開けた地形に主力を集中投入、ドイツ軍の中央を食い破ります。正しいルールの適用でドイツ軍の反撃力は割増しされたものの、私の経験値の低さを賄うにはまだ足りなかったようで、ソ連軍の着実な前進・包囲攻撃の前に損害をジリジリと吐き出していきます。前回に引き続き判定に成功して到着した強力な戦車たちもうまく使ってやれず、戦線の穴埋めに右往左往する体たらく。

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 終始綱渡りを続けていたドイツ軍の戦線は、最終ターンを待たずして瓦解、大きく二分されてしまいました。見事なポケットです。あたたた……。
 こんなところで、第2回コルスン会も時間切れとなりました。
 コマンドマガジンやWeb上のリプレイを見ると、多くは良い勝負になっているので、今回の私のドイツ軍の立ち回りが相当マズかったのだと思います。「助からないと思っても助かっている」(by 大山康晴第十五世名人)ならぬ助かると思っても助かっていないシーンがそこここで見受けられたり、まだまだウォーゲームの基本がなってないのかもです。エルアラメインから出直しであります。
# by taku9113 | 2011-07-07 12:47
The Chickamauga Campaign 対戦記 6 - チカマウガ戦役
 3ヶ月近くに渡ってゆっくりゆっくり書いてきたThe Chickamauga Campaign対戦記も、今回でひとまずおしまいです。最後まで付き合って下さった方、ありがとうございました<(_ _)>
 最後は、南軍の戦線各所における反攻を取り上げます。

■ クリーブランド攻防戦:番外編
 もう一歩のところで部隊間の協調を欠きクリーブランドの攻略に失敗した南軍は、いったん同市を諦め、代わりに微妙な地点に位置していた第21軍団に属するVan Cleveの師団に狙いを定めました。クリーブランドの攻略に参加していた部隊やロングストリートの指揮する師団を投入して、Van Cleveを一挙に取り囲んでしまいます。

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 ZOC to ZOC移動を行えば包囲網からの脱出も不可能ではありませんでしたが、すぐに追い付かれ正面決戦を強要されることが目に見えていたので、それよりも数ターンかけて築いた要塞(戦闘力・砲兵値いずれも3倍)を恃んで南軍の突撃を迎え撃つ方がベターだと思いました。また、防御ヘクスの地形が、砲兵効果の最も大きい平地であったこともその理由でした。更に、戦術値を1上昇させるため急ぎクリッテンデンをクリーブランドから決戦ヘクスへ向かわせます。最後に、側面防御の命令を下し、南軍の包囲攻撃に備えました。
 やれるだけのことをやって挑んだ戦闘の顛末は、以下のようになりました。
 
● Johnston's Millの戦い(第21ターン - 9月18日)
 ---------- ダイス修整
  兵力比(CS:US); 32:24 = +0
  戦術差 = +1
  砲兵 = -3
  側面 = +2
  突撃 = +1
 計 +1DRM
 ---------- dr・戦闘結果
  dr(CS, US); 3, 2 = 1 + 1DRM = +2
  結果(CS, US); 2Da, 1Dr

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 南軍による攻撃の結果、南軍は2損害と混乱の結果を被ったものの、対する北軍に1損害・混乱・退却の結果を与え、要塞から叩き出すことに成功しました。クリッテンデンはクリーブランドへ向けてほうほうの体で逃げ出しましたが、北軍プレイヤーとしては、最小限の損失で抑えられたのでは、と呑気に考えていました。
 かくして青服兵に一発入れることにひとまず成功した南軍が次にその目を向けたのは、チャタヌーガからリングゴールドまで、鉄道線に沿って流れる東チカマウガ河でありました。周辺で唯一の渡河点を歩兵に握らせ、安泰に違いないと思い込んでいたこの河こそ、北軍の戦列が内包していた危険だったのです。

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■ 穿たれた突破口
 ルール上、小河川(濃い青色の細めのヘクスサイド)や大河川(濃い青色の太めのヘクスサイド)は橋やフェリー等の渡河点がなければ渡れません。しかし、小川(薄い青色のヘクスサイド)は追加移動力等も一切必要無く、どの地点からでも渡れてしまいます。そして、テネシー河から分流する東チカマウガ河は、始めのうちは小河川に設定されていますが、リングゴールドから北へ3ヘクスのところから小川扱いとなっています。すなわち、渡河点なしにチカマウガを渡れる箇所がちょうど3ヘクス存在することになります。
 1ヘクス目は東チカマウガ河が小河川扱いの最後のヘクスサイドに架かる橋を守る歩兵のZOCが及ぶから良し。
 3ヘクス目はリングゴールドに詰める歩兵のZOCが及ぶから良し。
 しかし、真ん中2ヘクス目にZOCを及ぼすユニットがありませんでした。
 この重大な事実にようやっと気付いたのが第22ターン中の、あるイニシアティブセグメントでのこと。「おや、ココ、塞がなきゃだめじゃん!」そう思いながら振ったイニシアティブ判定に負ける。恐る恐る南軍プレイヤーの指先を見守っていると、私の懸案のタネを的確に咎めてこられました。南軍歩兵が、チカマウガを渡ります。

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 しまった、という後悔の気持ちが半分。もう半分は心底シビれるような感覚が占めていました。奇しくもその時第22ターン、日付に直すと9月19日、河の名前は少々違えど、史実において南軍がリード橋やアレクサンダー橋を渡って反撃を北軍に与えたその日に他なりません。そして何より、自分のいまやられて一番困ることを相手が鋭く突いてくること――普段の生活ではあまり嬉しくないですが、およそゲームに関わるときだけ、それはこれ以上ないご褒美に変わります。ゲーマー冥利に尽きるです。
 
 南軍兵たちが続々と先発に続いてやってきます。山がちな地形に囲まれ攻め難そうに見えていたリングゴールドも、あっという間に孤立の危機に立たされました。
 急変した事態に追われるローズクランズは、まずTaylor' Ridgeに沿って南方深く展開していたトマスの軍団を呼び戻すことにしました。伸び切った戦線を縮小し、予想される南軍の攻勢に備えるためです。なお、勝利得点を生む群都ラファイエットには捨石の1個師団を残しました。
 このギリギリの撤収作業のあいだ、常にブラッグは分散した北軍を各個に叩く機会を手にしていましたが、重要な局面でつい二の足を踏みがちな彼の性分が表れたかのように、南軍プレイヤーのイニシアティブのダイスが振るいません。ようやく南軍がイニシアティブを握った頃には、北軍は何とか戦線をでっち上げることに成功していました。

■ リングゴールドを巡って
 分散していた部隊の再集結が首尾よく完了してほっと胸をなでおろしたのも束の間、今度はリングゴールドを巡る情勢に気を揉まされます。同市は完全に包囲下にありましたが、しかしその包囲環を作る南軍の1ユニットが瞬間的に突出していました。これを追い返すことができれば、リングゴールドへの連絡を啓開できます。ただし突撃に失敗すれば、リングゴールドの孤立が確定するばかりか、解囲を目論んだユニットまでもがその地に釘付けになってしまうでしょう。
 すこし悩んだ末、攻撃をかけることにしました。戦闘は以下のようになりました。
 
● リングゴールド包囲戦 - 前半(第23ターン - 9月20日)
 ---------- ダイス修整
  兵力比(US:CS); 8:7 = +0
  戦術差 = +0
  砲兵 = -1
  側面 = +2
  準備 = +1
 計 +2DRM
 ---------- dr・戦闘結果
  dr(US, CS); 1, 3 = -2 + 2DRM = 0
  結果(US, CS); 1D, D
 
 北軍による攻撃の結果、北軍のみ1損害を受け、また両者とも混乱となり、残念ながら解囲は失敗しました。混乱の結果を強要したことで、南軍1個歩兵師団の動きを封じられたことがあるいはせめてもの救いだったかもしれません。
 以上の試みから数サイクル後、依然包囲下にあるリングゴールドは、南軍の満を持した攻撃に曝されることになりました。
 
● リングゴールド包囲戦 - 後半(第23ターン - 9月20日)
 ---------- ダイス修整
  兵力比(CS:US); 16:30 = -1
  戦術差 = +1
  砲兵 = -2
  側面 = +2
  突撃 = +1
 計 +1DRM
 ---------- dr・戦闘結果
  dr(CS, US); 3, 2 = 1 + 1DRM = +2
  結果(CS, US); 1Da, 1Dr

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 南軍による攻撃の結果、両者とも1損害と混乱の結果を被りました。また北軍は退却も強いられたので、南軍はリングゴールドの奪還に成功しました。これにより、南軍は損失による得失点を考慮すると24VP巻き返しました。
 南軍の反撃は更に続きます。ロングストリートとフォレストの2人の矛先が指向したのは、急激に薄くなった北軍の左翼でした。

■ なだれ込む反乱兵
 最初の南軍の小川渡河に端を発する中央瓦解の危機に対応するため、北軍はチャタヌーガから目と鼻の先にあるいくつもの橋を守る騎兵を引き抜いては火消しに走らせていました。特に北軍の戦線後方に回り込もうとしているように見えたJoe Wheelerの騎兵隊が、まるで目の上のたんこぶのような存在で、その対処に数ユニットの騎兵をつぎ込まされてしまいます。今冷静になって思い返してみると、これは見事な一本釣りをくらっていたような……。

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 北軍の左翼、チャタヌーガ近くの渡河点が薄くなったと見るや、南軍はここにロングストリートとフォレストを投入。上流部においても、東チカマウガ河を渡ってしまいます。渡河を達成したヘクスからチャタヌーガまで5ヘクスもありません。今や兵站の前線基地としての機能を持たせているチャタヌーガを失う訳にはいかない北軍は、すっかり遊兵と化してしまっていたクリッテンデンを急行させました。
 ……と、南軍の反攻が各所で成功を収め、北軍が対応にひいひい言い始めた第24ターンが終わったころ、ゲーム会2日目も、良い時間になってしまいました。
 第24ターン終了時のVPは、以下のようでした。(ゲーム中から、スプレッドシートで管理していました)

GCACW:The Chickamauga Campaign - VP(turn 24)
 
 ご紹介頂いた韓国料理店で、おいしい料理とおいしいビールを楽しみつつ2日間の疲れをクールダウン。ゲームに熱中した後のビールがこんなにうまいなんて!(ゲーム会後のお酒は初体験でありました)
 ふとタイムラインを見ると日曜日にも関わらずSATURDAY NIGHT WARGAME LIVEの話題が。たらふく頂いた(ごちそうさまでした!)あと、急ぎお家に戻って関西発のウォーゲーム的Ustを見つつ関東からウォーゲーム的Ust配信という離れ業をやってのけたり、2日間の余韻を贅沢に味わいました。

■ ふり返って
 2日間に渡った『GCACWシリーズをこってりプレイする会』でしたが、会の名前に負けないくらい、こってりきっちりプレイできたと思います。積極的にFace to Faceでゲームを楽しむようになって以来、最大のウォーゲーム体験になったことは間違いありません。
 焦点に据えるゲームの1つであるGCACWシリーズですが、このようなマイルストーン的な経験が、いったんゲームから距離を置く前にできてとっても嬉しく思います。夏休みの最後の日以外で、こんなに「タイムマシンがあったら素敵だなぁ」と感じたことは初めてです。
 全32ターンを完遂できなかったこと。あの後ゲームを続けていられたらどんな展開が待っていたか。
 気にならないといえば、もちろん大嘘になります。でも、あの時完遂できていたら、本当に一区切りついてしまって、今ほど未練を感じなくなってしまっていたかもと思うと、大変自分勝手ながら、「これはこれでいいのだ」と思ってしまいます、すみません。。。
 最後になりましたが、ゲーム会の設定から、当日の何から何までお世話下さったたかさわさん、本当にありがとうございました!!
# by taku9113 | 2011-06-25 05:18
The Chickamauga Campaign 対戦記 5 - 撤退、小康状態、逆襲前夜
 前回は、北部に進んだクリッテンデンの動向と、チャタヌーガ郊外の攻防についてまとめました。今回は、その結果として南軍司令官が下した決断と、以後の展開についてご紹介します。

■ 南軍によるクリーブランド強襲
 マクックとトマスが共同してチャタヌーガ〜リングゴールド付近を襲撃しているころ、チャタヌーガの北側から渡河した北軍が電撃的に奪取した都市クリーブランドが、D・H・ヒルに指揮された2個師団による攻撃を受けました。
 クリーブランドに立てこもるWoodは以前から陣地構築に努めており、幸い砲兵力の上では優位に立っていましたが、戦術値や戦闘力はいささか頼りなく、五分以下の戦いを強要される状態にありました。ところが、いざヒルが突撃を命じると、指揮系統に齟齬が生じたか、1個師団のみの攻撃となってしまいました。南軍プレイヤーが戦闘解決の前に振った、戦闘に参加するユニット数を決める指揮のダイスが5であったことが原因です。
 各種修整値と、dr及び戦闘結果は以下の通りです。

● クリーブランドの戦い(第8ターン - 9月5日)
 ---------- ダイス修整
  兵力比(CS:US); 10:17 = -1
  戦術差 = +1
  砲兵 = -2
  側面 = +1
  突撃 = +1
 計 +0DRM
 ---------- dr・戦闘結果
  dr(CS, US); 1, 3 = -2 + 0DRM = -2
  結果(CS, US); 2D, f

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 1個師団の不参加は、兵力比DRMと砲兵DRMの算出に、ひいては戦闘の顛末そのものに大きな影響を与えました。もし全軍の突撃を受けていたら、北軍はクリーブランドからの撤退を余儀なくされていたでしょう。南軍の不運に助けられた格好でした。

■ チャタヌーガ、その所有者を鞍替え
 チャタヌーガへ繋がる2本の鉄道線のいずれもが北軍の手に落ち、その方位環が徐々に狭められつつあるのを見た南軍司令官ブラッグは、同市の放棄を決断しました。第9ターン、ゲーム内の日付で9月6日のことでした。2ターンにつき一度だけ使える特別な軍司令官による活性化アクションも利用して、チャタヌーガ周辺に展開していた南軍をまとめて、補給源のある東の方へ向かって撤収を開始。

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 一方、空いたへクスにユニットを進め、チャタヌーガの獲得にひとまず満足した北軍は、特に追撃は行わず、渡河点の確保など得られた地歩の確立に注力しました。その時点で稼いだVPは北軍の勝利に必要な90に達していたため、無理をすることはなかったからです。
 この時から、時間と勝利得点に追われるのは北軍から南軍に変わりました。南軍は何らかの行動を起こして、北軍の獲得VPを90未満まで減らす必要に迫られました。
 考えられる手段は大きく2つに分けられます。1つ、北軍に奪われた重要へクスを奪還すること。2つ、戦闘を仕掛けて損害を与えること。ただし、態勢の整わないうちはそのいずれも難しく、戦線に小康状態が訪れて更に北軍に今以上の戦果を望む様子が見られなかったため、南軍は早期の反撃には打って出ず、両軍とも銃火を交えないターンがそれからしばらく続きました。

■ 戦略的膠着
 ブラッグのチャタヌーガ放棄というターニングポイントから数ターンを経るにつれ、リングゴールドから延びるTaylor's Ridgeを境目に、戦線が形作られていきました。両軍とも山の出入り口に部隊を配し、万一にも通り抜けさせまいと築壕に専念させました。また、自軍補給源から遠く数十へクスの距離まで進出する過程で、北軍は新たにウォーカー群の群都ラファイエットを手に入れて、VPの貯金を増やしました。

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 互いに手出しのできない戦略的膠着がおよそ10ターンほど続きました。騎兵隊が補給部隊を襲ってVPの『小遣い稼ぎ』をする場面はありましたが、それ以外に大きな戦闘は発生しませんでした(このいかにも南北戦争っぽい、いわゆる"raid(襲撃)"を表現できるあたりが、多少の面倒を押してでも補給ポイントやそれを運ぶ運搬ユニット等のルールを導入した1つの良いトコロであります)。

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 ↑ 戦闘力・砲兵力3倍の要塞に籠り、河を抑える北軍騎兵ら 鉄壁…?

 その間北軍は、今や戦線のはるか後方にある補給集積所からせっせと補給ポイントを運んだり、渡河点の周辺に騎兵を配置したりして来るべき反逆兵の逆撃に備え、一方南軍はロバート・E・リー率いる北ヴァージニア軍から引き抜かれ遠路はるばるやってきたロングストリートの歩兵師団を数ターンかけて鉄道移送、メインマップに登場させました。総司令官とのソリはいまいち合わない彼ですが、南軍にとって強力な増援であることは間違いありません。

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 ↑ 長旅の疲れが出たか移動力のダイスで1ばかり振り、なかなか進めない老ピート

■ 北軍の戦列が内包していた危険
 シミュレーションウォーゲームを語る上で外せない問題のひとつに「司令官が史実で犯した過ちの取り扱い」があります。歴史を知るプレイヤーが同じ過ちを繰り返すはずがないが、そうならないとゲームが成り立たないとき、しばしば取り沙汰されます(南北戦争のゲームに見られるとりわけ顕著な例は、アンティータムにおけるマクレランの消極性でしょうか)。

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 ↑ 南軍反攻前夜の盤面 北軍の戦列には、実は大きな穴がどこかに…

 本キャンペーンシナリオの扱うチカマウガ戦役の中で北軍が犯した失敗には「チャタヌーガ占領後の兵力分散」が挙げられると思いますが、改めてこの時の盤面を見返してみると、どうやら私は意識しないうちに同じ轍を踏んでいたようです。
 フルマップ1枚のスペースに3個軍団がぽつんぽつんと点在していて、相互の連絡が心もとない状態にあり、一方南軍は北軍の薄く広がった戦線のどこかに兵力を集中投入できる権利を手にしていました。
 加えて、山々と河で保たれているはずの北軍の戦列は、実は大きな脆弱性をある地点に抱えていました。

 2日間に渡った今回のゲーム会も佳境に差し掛かろうとする頃、ロングストリートの来援を得、上述の好機を見過ごさなかった南軍は、ついに反攻を開始しました。
# by taku9113 | 2011-05-13 22:12